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全美連第389回理事会で外国人美容師育成事業に関する議案

 全日本美容業生活衛生同業組合連合会(全美連、𠮷井眞人理事長)は、「第389回理事会」を10月27日(水)12時30より東京都千代田区のホテルニューオータニで開いた。議事においては、政府が推進する「外国人美容師育成事業」に関する議案も取り上げられた。

規制改革推進会議「美容師の養成に係る検討会」にメンバー派遣も

 理事会冒頭のあいさつ立った𠮷井理事長は「少子高齢化、経済再生という流れの中で起こったコロナ禍だが、はっきり見えてきたところが多々ある。そして出張美容やサロンにおける営業のあり方について、皆さんと相談しながら進めていきたい」と全美連における方針を述べた。

規制改革推進会議「美容師の養成に係る検討会」にメンバー派遣も
▲理事会冒頭であいさを述べる𠮷井眞人理事長。

 続けて𠮷井理事長は藤原國明副理事長を議長に選任、同副理事長が議長席に着いて開会となった。議事では各委員会の進捗状況について各委員長より報告が行われた後、付議事項へ移行。第1号議案として「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業における監理実施機関への役員派遣」が上程され、事務局より同事業の対応に関する経緯および概要の説明が行われた。

 同事業を推進する内閣府および法務省、厚生労働省は7月30日付で「国家戦略特別区域外国人美容師育成事業実施要領」を公表。東京都を特区とする、期限付きの制度として、事業概要がまとめられている。

 概要によると、就労できる外国人美容師の条件も非常に限定的で、①美容師養成施設での知識・技能の修得、成績優秀・素行善良、美容師免許の取得(見込含む)、③日本語能力試験N2相当以上、④満18歳以上、⑤日本式の美容に関する技術・文化を世界へ発信する意思、が挙げられている。

 また、受け入れる美容サロンも、その要件の中に「健全で安定的な経営状況」「法令遵守」「日本人と同等以上の報酬額での雇用」といった条件が設けられており、監理実施機関における育成計画の審査を経て雇用の認可が下りる仕組みとなっている。

 議案は、事業の申請を行った東京都の要請を受けて、東京単組(金内光信理事長)が管理実施機関となる一般社団法人を設立し、全美連からも同法人へ役員を派遣することに対する承認を求めるもの。

 当日の質疑においては出席理事より、外国人美容の受け入れによるイメージやサービスの質の低下、治安的な面での大事を危ぶむ声もがったが、全美連の副理事長でもある東京単組の金内理事長は、あくまでも新卒生徒を対象とし、外国人留学生を送り出す美容専門学校が育成計画の適用条件を把握した上で、身分保証を徹底することを強調。軌道に乗るまでは年10人程度の適用で、時間をかけて進めていく意向を伝えた。  

▲出席理事の質問に答える金内光信副理事長(東京理事長)。

 さらに𠮷井理事長が、同事業が政府のクールジャパン施策の一環であるとの説明を加え、一般社団法人に役員を派遣することについての意義を唱えた。

 続く2号議案は「美容師の養成に係る検討会(仮称)への対応」に関する件。7月29日に規制改革推進会議の「第18回投資等ワーキング・グループ」が開催され、全美連、厚生労働省に加え、発端に働き掛けた(一社)日本美容サロン協議会(JABS)の代表者が出席したことを報告。

 JABSが6月に、当時の河野太郎行政改革担当大臣に手交した提言書にあった①美容師国家試験の改革、②実践的な実務研修制度の創設、③外国人美容師に関する就労特区の支援、④美容師の働き方改革の推進、⑤美容室のコロナ対応への支援、の5点について意見が交わされたことが伝えられた。

 その中で特に①②について、現行の仕組みと照らし合わせながら検討する「美容師の養成に係る検討会(仮称)」を厚生労働省主導で設置。本年度末(2022年3月末日)を目途に一定の結論を導き出す予定であるという報告も添えられた。議案は同検討会への出席者選定を𠮷井理事長に一任するというもの。

 出席理事からは、美容師の業務独占資格制度を脅かす事案であるとする見解も飛んだが、𠮷井理事長は「あくまでも国家試験の試験内容と修業カリキュラムおける実習期間を見直し、検討するもので、制度自体を根本的に変えるという話ではない」と法制度に抵触する内容ではないことを念押しした。

 その後、協議事項として「第390回理事会」および「令和4年新年懇親会」の日程について確認が行われ、理事会は終了となった。

 なお、当日は理事会に先立ち、全美連主催の「第23回作文コンテスト」の入賞者発表があり、上位入賞者表彰の場が設けられた。今回のテーマは「美容師から世の中への提案」で、60点の応募があった。 審査結果は以下の通り(敬称略)。

最優秀賞/岩見吉記(奈良県)
優秀賞/川畑一弥(大阪府)、村橋哲矢(東京都)
入選/石川隆行(東京都)、入矢武士(岡山県)、梶田悠介(大阪府)、黒田百合七(千葉県)、三谷健吾(鳥取県)

▲最優秀賞を受賞した岩見吉記氏の表彰シーン。作文コンテストを後援する厚生労働省より生活衛生局の成松英範生活衛生課長が出席し、厚生労働大臣賞を授与した。
▲表彰式後の記念撮影(左から全美連・𠮷井理事長、金内副理事長〈優秀賞・村橋哲矢氏の代理〉、優秀賞・川端一弥氏、最優秀賞・岩見吉記氏、厚生労働省・茂松生活衛生課長)。
2021.11.17
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