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世界初、タカラベルモント(株)研究チームが毛髪の中心部「メデュラ」の構造変化を新解明

 理美容、 エステ・ネイルの総合メーカーであるタカラベルモント(株)(吉川秀隆会長兼社長)は、 これまで未解明だった毛髪の中心部に存在する「メデュラ」における構造変化を、 独自の開発技術を用いることで解明することに成功。10月21日(水)~10月30日(金)の日程で開催中の国際化粧品技術者会連盟が主催する学術大会「IFSCC Congress 2020 Yokohama」の口頭発表において、「メデュラ」をケアすることで毛髪の外観を美しく変化させる新しいテクノロジー『Hair Medulla Care(ヘア メデュラ ケア)』を発表した。

さらなるメデュラの科学的な解明でヘアケア製品にも新たな可能性

 今回「IFSCC Congress 2020」はWEB開催。「Hair Medulla Care」の研究は、500報近い研究報告から厳選なる審査の結果、 口頭発表の機会が与えられた。同社は今後、この知見を基にさらなるメデュラの科学的な解明を進めると共に、新たなヘアケア製品への応用を目指していく。

▽発表タイトル
新しいコンセプト/ 『ヘア メデュラ ケア』
毛髪のメデュラの構造を解き明かすことで白髪の見た目を変化させる-
A Novel Concept “ Hair Medulla Care ”
-Unveiling hair medulla structure can change grey hairs appearance-
発表者/萬成哲也、戸田和成、平山貴寛、中嶋礼子、細川博史、大西日出男(タカラベルモント(株))

さらなるメデュラの科学的な解明でヘアケア製品にも新たな可能性

▽発表内容の概要
 毛髪構造は、 外側からキューティクル、コルテックス、メデュラという3層構造に大きく分かれる。毛髪は未解明な点が多い研究領域で、特に中心部であるメデュラは、その詳細な構造や機能について未だにほとんど解明されていなかった。

 そこでタカラベルモントの化粧品研究所では、毛髪の芯であるメデュラ構造の詳細を科学的に解析するために、毛髪の内部構造を直接的に観察する独自技術を開発。縦に毛髪を切断して観察ができる、業界初の手法により、 メデュラで生じる構造変化を観察することに世界で初めて成功た。 さらに空洞化したメデュラを充填させ、 その状態を維持させることにも成功。毛髪の外観を美しく変化させる手法『Hair Medulla care』を開発するに至った。

【研究内容】
1.メデュラには「Black medulla」と「White medulla」の2種類が存在していることを発見
 同社独自の縦型の切断技術により、 毛髪の縦軸切片を作成し、 日本人女性の黒髪を透過型光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察。その結果、光が散乱して内部が黒く不明瞭に見える「Black medulla」と白く明瞭に見える「White medulla」の2種類のメデュラが存在することを発見した。

 さらに、同様の技術を用いて、それぞれのメデュラの構造をより詳細に観察したところ、「White medulla」は「Black medulla」と比較して、中央の繊維状構造が太く、空隙も半分以下であることを新しく解明した。(図1)

▲図1.2種類のメデュラ

2.毛髪ケアの新コンセプト『Hair Medulla Care』テクノロジーについて「白」と「黒」の状態の違いを解明
 「White medulla」と「Black medulla」の状態に違いがあったことから、直接メデュラにさまざまな処理を行ない、 状態変化を観察することで実態を検証。結果、多くのダメージ処理をすることで「White medulla」が「Black medulla」に変化したことを確認した。さらに過激なダメージを与えると、「Black medulla」の空隙が増加し「Hollow(中空) medulla」に変化することが分かった(図2)。

▲図2.メデュラの構造変化過程

空洞化したメデュラの充填化処理方法の検討
 そこで、 このメデュラの空洞化を改善する処理方法を検討。ある種のポリペプチド(PPT)と特定の浸透剤を組み合わせ、さらに還元性を持たせて毛髪への塗布処理をすることで、空洞化した「Black medulla」を充填し「White medulla」に変化させ、その充填状態を持続させること、つまりメデュラの空洞化を持続的に改善する技術の開発に成功。研究チームはこの技術を、独自技術の『Hair Medulla Care』と定義した。

 例えば、 白く目立った白髪のほとんどは「Black medulla」が占めている。 この白髪に『Hair Medulla care』処理を実施したところ、白髪は明らかに透明感が増し、より美しい外観に変化していることが確認できた(図3a)。さらにこれらの白髪を5%の割合で黒髪と混合し比較したところ、処理した白髪は周囲の黒髪と馴染み、ほとんど目立たなくなくなることが確認さた(図3b)。

▲図3.“Hair Medulla care” 白髪の外観変化

▽今後の研究と製品開発への展望
 タカラベルモントは、『Hair Medulla Careのさらなる応用研究を進め、白髪以外のさまざまな毛髪コンディションを検証していくことで、メデュラ研究とその先の製品応用を加速させるという。世界中の人々の髪の悩みに応え、それぞれの人が理想とする美しい髪の実現を目指す、本研究の可能性を最大化することで、 新たな技術と新たな価値の創出し、商品やサービスに応用して、社会に美による展開していく、との意志を強めている。

《IFSCC(International Federation of Societies of Cosmetic Chemists)》
 IFSCC(国際化粧品技術者会連)による国際学術大会は、 世界中の化粧品技術者が集い最先端の化粧品技術を披露する化粧品業界で最も権威のある学会。応募論文はIFSCCの厳選な審査を受け、選ばれたものに発表の機会が与えられる。今年横浜で行われたIFSCC2020では、口頭69報、ポスター372報が発表された。

2020.10.22
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