HAIR MODE 2016年２月号　誌上コンテスト結果発表

課題

新鮮なシニヨンスタイル

総評

デザインの構成力が高く、見応えがあった

今回はアップスタイルの構成力のレベルが軒並み高く、すばらしい作品が多かったと思います。佳作～準佳作前半の作品は、ごくシンプルな構成でありながら、見どころをしっかりつくったデザイン構成が印象的でした。シニヨン自体に工夫を凝らしたり、センターパートからデザインを発展させて新鮮さを表現したり、シンプルな中にキラリと光るポイントが効いています。一方で、シニヨン部分以外のデザインやクオリティにも、もっとこだわってほしかった。たとえば、前髪からサイドをタイトに仕上げる場合、きれいにスリークにしたり、長さや髪質上、そのスリークな美しさが求められないならば動きを出す構成に変えるなど、もう少し質を追求できた作品が数多くありました。準佳作後半は、編み込みを多用してデザイン上のオリジナリティを出そうとしたり、アイデア力のある作品が多かったです。意欲の高さは感じますが、モデルへの似合わせやデザイン性にやや疑問を感じるものも散見されました。もう少し要素を引き算できないかどうか、デザインを客観的に見てみましょう。また、編み込みをアクセントにした場合、毛束の取り方が雑では、最終的な仕上がりに影響します。下地のつくり方から細部まで、もう少し気を配るだけでもぐんと仕上がりの印象が良くなりますので、次回からぜひ気をつけてみてください。

『HAIR MODE』編集長 小池入江

月間賞

新城輝昌
SHISEIDO（東京都港区）
琉球美容専修学校卒（美容歴12年）

編集長からのコメント：
とても繊細でモデルによく似合ったスタイルです。テーマのシニヨンは、ざっくりとつくられているようでいて、毛束の流れ、組み合わせが細やかに計算されたデザインであることが見て取れます。また、シニヨン以外の部分も秀逸です。起伏をつけたベースから編み込みを駆使してタイトに抑えたサイドまでの流れ、リズムがとても良いと思います。全体的にコントラストがありながら、ひとつのデザインとしてうまく調和させています。月間賞おめでとうございます。

佳作1位

阿保麻都香
SHISEIDO（東京都港区）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴7年）

編集長からのコメント：
モデルのシャープなイメージを上手く引き出した作品です。髪のほつれ方もおしゃれで、ファッション性が高い。フロントをV 字パートでとったことで、クラシカルになりがちなシニヨンに、新鮮なイメージをつくっています。ただ、バックから見たとき、ゴールデンポイント付近のパートの存在感が強く効きすぎている点が気になりました。とても良いデザインなのですが、地肌が割れて見えるようなパートで魅力を損ねています。

佳作2位

住吉沙耶香
資生堂美容室（東京都千代田区）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴2年）

編集長からのコメント：
キャリアがまだ浅い方ですが、それを全然感じさせない素敵な作品です。甘い顔立ちのモデルに対し、繊細なおくれ毛をあしらった横広がりのスタイルに仕上げたことで、全体的にロマンティックな雰囲気になっています。今、サロンワークで求められる人気のヘアデザインであり、お客さまに十分提供できるクオリティです。ただ、惜しいのはフロントのつくり方、前髪の流し方やトップ付近の崩し方がもう一息でした。

佳作2位

葉室美幸
資生堂美容室（神奈川県横浜市）
資生堂美容技術専門学校卒（美容歴18年）

編集長からのコメント：
テクニック的に非常にレベルの高い作品だと思います（ただし、バックの構造がわかる写真がないので、今後は別アングルも必ずお願いします）。しかし、全体的に要素を盛り込みすぎです。たとえば、前髪にここまでしっかりウエーブをつける必要があったのか、疑問が残ります。シニヨンも複数配されており、全体的にもう少し要素を整理すると、トレンド感やこなれた印象が出て、もっと良かったと思います。