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HAIR MODE 2016年10月号 誌上コンテスト結果発表

若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳正な評価を行なっている同コンテスト。
1962年の幕開け以降、54年の歴史のなかで多くの著名スタイリストを輩出してきました。時代性があるか、テーマが反映されているか、シンプルに構成されているか、モデルに似合っているか――。これが、コンテストの趣旨となっています。自分の基礎力を見つめ直したい、力を試したいという方はぜひ挑戦してください。

課題

リーゼントスタイル

総評

似合わせとデザイン構成の工夫がもう一歩 デザインの完成度は高い

このテーマは、これまで何度も出題してきたものですが、みなさんに「出題の文章をよく読む」という習慣がついたのか、今回はテーマにかなっている作品がほとんどでした。気になったことが1つ。セットアップを含んだテーマでよく起こることなのですが、やろうとしていることはわかるしヘアデザインの完成度は高いものの、あまりモデルに似合っていない作品の比率が高い。カットデザインがテーマのときにはほとんど起こらない現象なので、サロンワークで場数をこなしていない分、造形的・テクニック的な面が先立ち、人にフィットさせるための見極めが上手くできなくなるのかもしれません。アップはプロセスの前に戻ってピンを留め直すということが基本的にできない技術なので、つくりながらモデルの顔や骨格を見るために、モデルにクルクルまわってもらい、作業中の部分を鏡に映しながらつくったほうが良いと思います。
また、全体にデザイン構成のアイデアという意味でもう少し工夫がほしかったです。たとえばトップのボリュームの出し方などは、ふくらませるだけではなく、毛先の方向が上へ上へといくようにつくることでボリュームを強調するという方法もあると思います。視野を広げて、毛流れや質感を、量感の見え方の味方にしながら、もっと実験を楽しむつもりでアイデア出しをしてみてください。

『HAIR MODE』編集長 小池入江

佳作1位

阿保麻都香
SHISEIDO(東京都港区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴8年)

佳作1位
佳作1位
編集長からのコメント:
テクニック的な精度が非常に高い作品です。ウエットな質感が魅力的で、タイトになでつけたところから、ダウンにした大きいウエーブにかけてのつながりのつくり方も上手。高さを出したフロント部分の仕上がりも美しいです。気になったのは、イメージしている女性像の位置づけがわかりにくいこと。衣装がないなりにどういう人間としてつくっているのか、という点でもう一、二歩考えてつくってほしいです。

佳作2位

佐藤久美
VISAGE(千葉県松戸市)
東京ヘアメイク専門学校卒(美容歴11年)

佳作2位
佳作2位
編集長からのコメント:
非常にきれいにまとまっています。クールでシャープなイメージがきちんと伝わってくる作品です。右サイドから見たときの、トップからバックにつながる部分の起伏のつくり方が見せ場になっていますが、ちょっと物足りない印象。月間賞を出すには、もう一押し工夫をするか、徹底的に完成度を追求したいところが見たいところ。さっとつくった気持ちの良さがある反面、佐藤さんにしか思いつかないアイデアの部分で物足りなさを感じます。

佳作2位

林 佐知子
SHISEIDO(東京都港区)
高山美容専門学校卒(美容歴9年)

佳作2位
佳作2位
編集長からのコメント:
パート設定の仕方や、もみあげの毛流れなど、印象的な部分をつくろうという気概を感じます。モデルにも似合っています。ただ、ディテールの表現、髪の扱い方がやや粗い。あと、デザイン構成についてねらったことは実現できているかもしれませんが、その上でフロントのボリューム、バックの奥行きのバランスはブラッシュアップできそう。アイデアに手が追いついていないという印象です。
2016.10.01
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