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タカラベルモント㈱の次世代ヘアケアブランド「LebeL ONE(ルベル ワン)」の開発ストーリーを公開

 理美容総合メーカーのタカラベルモント㈱(吉川秀隆会長兼社長)は、創業100周年を迎えた2021年10月、同社の主軸ブランドを冠したヘアケアシリーズ「LebeL ONE(ルベル ワン)」を満を持して発売。100年の伝統と先進的な研究から誕生した、次世代ヘアケアブランドの開発秘話を、ルベル事業部営業担当の兼保友紀子氏がレポートにまとめ、このほど公開した。

シャンプーの価値を見直す28日と4分という新発想。
ヘアケア開発者が「無理!」と猛反対した技術とは?

 突然ですが、皆さん「理美容室のシャンプー」にどんなイメージがありますか?

 私のイメージは、ひとこと「気持ちいい」なのですが、中にはあまり気に留めておられない方もいらっしゃるかもしれません。

 今年、創業100周年の節目を迎えたタカラベルモントの化粧品ブランド ルベルでは、先進の幹細胞研究にインスパイアされた、次世代のヘアケア「LebeL ONE(ルベル ワン)」を2021年10月に発売しました。「理美容室のシャンプーの価値を高めたい!」という強い信念から生まれ、発売以来、多くの理美容室やそのお客様から高い評価をいただいています。

 頭皮が常に乾燥にさらされる超乾燥社会において、「美しい髪は潤いあふれる頭皮がカギになる」と考え、毎日頭皮にふれる「シャンプー」に着目し、生まれた「LebeL ONE」。今回は、その開発に取り組んだ研究員 上條洋士さんに、次世代製品を開発する上での想いや乗り越えられた課題について、タカラベルモント ルベル事業部営業担当の兼保友紀子が取材しました。普段何気なく毎日のシャンプーをしたり、理美容室のシャンプーを受けておられる方にも読んでいただけると嬉しいです。

美しくなって「心を癒す」ことだって人助け

美しくなって「心を癒す」ことだって人助け
化粧品研究開発部 第一研究所
上條洋士氏

 学生時代は、「患者さんの病気を治したい」という想いから、抗がん剤の研究をしていました。しかし、就職活動の中で、化粧品も使うことで美しくなれる、使う人の気持ちを高め、「心を癒す」という点で、方向は同じであることに気づきました。

  入社してすぐ担当したヘアケア製品のレビューで「これがないと生きていけない!」というコメントをいただいたとき、「心のケア」というか「人助け」に近いものを感じてとても嬉しかったのを覚えています。それ以来、「自分自身がワクワクして本当に欲しいと思えるモノづくり」をモットーにヘアケア製品の開発に没頭しています。

シャンプーの価値を再定義する
―シャンプーは“無料”のサービスなのか?―

「ルベル ワン」は、“28日”という頭皮のターンオーバーに合わせたホームケアと月1回のプロの技術による“4分”のサロンケアを連動させることで、潤う頭皮と真の美しい髪に導くことを目指したヘアケアシリーズです。

 コンセプトは「28日と4分。この時間が美を育む」。ここに至ったきっかけは、生活者への大規模調査でした。「理美容室のシャンプーをどう思いますか?」という問いかけに対して「無料でやってもらえるもの」という回答が思いのほか多かったのです。理美容室専売化粧品メーカーの研究員としてこの結果はショックでした。

 理美容室のシャンプーは、プロならではの高度なテクニックが必要とされる技術のひとつなのに、それが理美容室のお客様には理解されていない。であれば「シャンプーの価値を高める製品をつくろうよ!」という話になりました。では、理美容室でのシャンプー価値とは何だろうか、プロジェクトで検討を重ねました。

 エアコンや紫外線などさまざまな環境ストレスにより頭皮がつねに乾燥にさらされている今、研究者として、日々のシャンプーが頭皮にも髪にも、最も気に掛けるべきことだという考えはずっとありました。

 そこで毎日繰り返し頭皮や髪に触れるシャンプーを見直すことで、潤う頭皮からみずみずしい健やかな髪の毛を生み出せることを伝えられたら、シャンプーの大切さ、価値として理解してもらえるのではないかという思いに至ったのです。コロナ禍によりおうち時間が長くなり、ご自身へのケア意識の高まりも後押しになりました。

 

シャンプーの価値を再定義する<br />
―シャンプーは“無料”のサービスなのか?―

 加えて、頭皮ケアを追求するには「ホームケアだけでは絶対に足りない」、「理美容室でのしっかりとしたシャンプー技術を組み合わせることで、真の頭皮ケアが完成する」とも考えていました。頭皮ケアとして、じっくり時間をかけて「ヘッドスパ」を受けていただくことが理想的ですが、時間や料金がハードルとなり、まだ施術を受けたことがない方が多いのも事実。そこで、まずは頭皮ケアに関心をもっていただくために入り口を広げよう、と。そのためにサロンケアの時間を短くする、という考えがプロジェクト内でも自ずと生まれ、「4分のサロンケア」が生まれていったという感じです。

 そうして「28日のホームケアと4分のサロンケアが髪の未来を変える」というシャンプーの価値が固まりました。

猛反対した「洗浄成分30%カット*」への挑戦
―カッスカスの泡やないか! 泡ってなに?―

 では、提供できるシャンプーの価値を高めるにはどうすればいいのか。開発メンバーと議論する中で「普通のシャンプーじゃだめだ」というのは全員の認識でした。超乾燥社会にフィットする、本当の「未来型のシャンプー」を目指して辿り着いた答えが「洗浄成分30%カット」です。洗浄成分とはいわゆる「界面活性剤」のことで、一言で言うとシャンプーの「泡立ち成分」です。

 シャンプーの必須成分ですが、刺激の強いものは肌のバリア機能を壊してしまう危険もあります。手肌に刺激の少ない洗浄成分の採用が業界内で常識となっている中で、洗浄成分そのものを大幅にカットすることは、大胆な発想でした。最初に製品企画の担当からこの目標数字を聞いたときは、さすがに猛反対しましたね。「無理です!せめて20%にしてください!」と数値を刻んで交渉したりもしました(笑)。

猛反対した「洗浄成分30%カット*」への挑戦<br />
―カッスカスの泡やないか! 泡ってなに?―<br />

 単に洗浄成分を30%カットするだけでは泡立ちは悪くなるので、案の定はじめは「カッスカスの泡やん!全然あかんわ!」と酷評をいただきました。理美容師さんはプロのテクニックで問題なく泡立てられても、お客さまがご自宅で使ったときに満足する泡立ちを達成するのには本当に苦労しました。

 なにしろシャンプーの泡立ちは、香りや仕上がりと同じくらい、使う方からの評価を左右する要素ですから。洗浄成分さえ制限なく使えれば、泡立ちの良いものをつくることは容易なのに、今回は使えないものですから、「そもそも泡ってなんだ?」という泡立ちの理論にまで遡りました。

 しかしそれが転機だったと思います。洗浄成分の構造を見つめ直し、30種以上の洗浄成分の組み合わせ・比率を膨大に調べました。試作数は僕一人が覚えている中で最低でも400回、他のメンバーたちのものを含めると正直数えられないほどです。

*30%カット=同社比

400回以上の試作を重ねて、使った方への喜びにつながった瞬間

 ほぼ完成品に近い試作品を開発協力サロンの方に使っていただいたときに頂いた言葉がとても嬉しかったのを覚えています。その方は、黒髪と白髪の硬さの違いを以前から気にされていましたが、白髪が硬くなってしまうのは仕方のないことだと思っていたようです。しかし、「ルベル ワン」を使用したあとに「白髪の洗い上がりがこんなにやわらかく感じるなんて初めて。」と、とても喜んでくださったんです。「あぁやってきてよかったな」と心から思いましたね。

モイスチュアは永遠の未完成品

 今回開発した「ルベル ワン」のシャンプーは、全部で4種類あります。その中の1つが「モイスチュア」で、シャンプー4種の基軸となるアイテムです。僕の中でモイスチュアは「LebeL ONEの象徴」であり、かつ「永遠の未完成品」です。というのも、化粧品というものは時代によって求められるものが変化していくからです。ルベルというブランド名を背負っているシリーズなので、この先長く愛される製品にするためにも、常に時代にあったヘアケアに変化し続けていきたいという意味で、永遠に完結することはないと思っています。皆さんの美しい人生を叶える手段の1つとして、長い人生に寄り添える製品に育てていきたいですね。

 

モイスチュアは永遠の未完成品
▲左から「ルベル ワン シャンプー モイスチュア」「ルベル ワン ヘアトリートメント キューティクル」「ルベル ワン エッセンス」「ルベル ワン エマルションオイル」。

 今回の取材を通じ、開発で最も苦労したという「洗浄成分30%カット」という面から、「ルベル ワン」というシリーズを改めて見つめることができました。普段、私が営業担当として理美容師様にお伝えする場面では、「洗浄成分30%カット」は文字にするとたったの10文字。でも文字には表せないほど深い思いがこもっているのです。

 開発者が最初「絶対無理!」と思ったこの難度が高い目標。約4年10カ月もの時間をかけて達成されました。その結果、手肌・頭皮の潤いを守る、毛髪補修効果を高める、ヘアカラーの色持ちが向上する、そして更にすすぎ時間の短縮で節水効果への期待に繋がる…など、思いがけない幅広い結果へと拡がりました。

 これらの結果が「どういう想いに支えられていたのか?」という開発の裏側を知ることで、その製品で本当に叶えたいことを知ることができる。私もこの取材を通して初めて知りました。「本気でシャンプーの価値を高めたい」という熱い想いがこの10文字から少しでも伝われば幸いです。

 

■洗浄成分30%を叶えた技術をより詳しく知りたい方へ。
「美を生むシャンプー『LebeL ONE』~洗浄成分30%カットへの挑戦~」

■LebeL ONE公式サイトはこちら>>

 

タカラベルモント㈱化粧品研究開発部 第一研究所
上條洋士(かみじょう ひろと)
2015年入社。関西大学大学院 修士課程修了。
学生時代は抗がん剤の研究に携わり、研究で培った知識を活かして、現在、iPS細胞の研究開発チームの一員として、研究成果の可能性を最大限に生かすための製剤化に尽力。同時にヘアケア製品の開発に取り組みながら、毛髪のツヤおよび印象に関する研究にも取り組み、学会や論文で研究成果を毎年報告している。

2022.01.04
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