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『美容室の開業』において考えるべき、正の連鎖を築く店づくりとは?

 美容室経営受難の時代。人口減少に伴い、集客率が低下し、少子化の影響で、人材確保も困難な状況でありながらも、参入障壁の低さから美容室の新規開業は一貫して増加傾向にあり競争は激化。「美容室は、開
業3年で90%が閉店する」とするデータも存在するという。

 タカラベルモント㈱の開業支援チームは、成功する美容室開業を増やすため、その準備と計画をサポートする集団として結成。これまでの開業サポートで得られたノウハウが詰まった書籍『美容室の開業~3575軒の開業支援から導き出した店づくりの考え方』(女性モード社刊)を監修した。このコーナーでは同書より本筋を大幅に抜粋。全10回にわたり失敗しない美容室の開業を解説してゆく。

美容室の開業 meme mag編
第2回 顧客とスタッフに支持される“店づくり”
    “店づくり”とは?

監修:タカラベルモント㈱開業支援チーム

美容室が置かれている状況と店づくり

 経営方針が決まったら、その方針に沿って、〝店〞そのものを、どのような形にするか構想するフェーズに入ります。

 本書では、サロンを形づくること、つまり、コンセプトとターゲット、メニュー&空間、立地&物件、そしてこれらに付随した接客やスタッフのオペレーションなどを総合した概念を「店づくり」と呼称します。

 店づくりは、コンセプトの策定に始まり(経営方針とコンセプトの違いは次回に解説します)、次にコンセプトにフィットしたターゲットを設定。メニュー構成や空間デザインなどの要素は、「定めたターゲットを最大限満足させるものとは何か?」という視点で考え、これらを実現できる立地や物件を探す、という流れで構想していきます。

美容室の開業 meme mag編<br />
第2回 顧客とスタッフに支持される“店づくり”<br />
    “店づくり”とは?<br />
<br />
監修:タカラベルモント㈱開業支援チーム

 かつての大多数の開業は、店づくりの各要素を、オーナー目線を基点に個別に検討していました。
 例えば、
「メニュー構成は一般的なサロンと同じだが、技術に自信があるため周辺の相場より全体的に200円ほど高く」→オーナーのプライドと相場観が思考の基点
「空間はオーナーが好むクラシカルなヨーロッパテイスト」→オーナーの価値観が思考の基点
「立地&物件は運よく見つけた居抜き物件」→オーナーの財政事情が思考の基点
というように。競合が少なく、シンプルに「美容技術を提供する場所(される場所)」という条件を満たしていればよかった時代は、この方法でも問題がありませんでしたが、これからの美容室の開業には、サロンを構成する要素を、多角的な視点で総合的に考慮し、決定するというアプローチが欠かせません。

 なぜならば現在のサロンは、オーバーストア状態にあって多くのサロンが似通った価値を訴求していることから、対顧客面では「サービスのコモディティ化(市場に存在する商品が生産者ごとの個性を失い、消費者にとってはどの商品を購入しても大差のない状態のこと)」という問題を抱え、対スタッフ面では労働人口の減少に伴う「労働市場の構造変化」という危機にさらされているためです。

 今、サロンは消費者からも美容師(スタッフ)からも、厳しい目で評価されています。選ばれるためには、双方との間に横たわるギャップを解消し、競争優位性を高めるために、明確で訴求性の高い〝理由〞を掲げる必要があるのです。

 その理由をつくる際に、顧客志向に偏り過ぎればスタッフの雇用が行き詰まり、スタッフ志向を履き違えると思うような成長が実現できません。サロンを構成するあらゆる要素を「店づくり」として包括的に考えてバランスを取り、課題を解決できたサロンこそ、経営を軌道に乗せることができます。

集客の考え方とサロン価値

 顧客・スタッフ・サロンという三者の関係性について、掘り下げて考えてみましょう。今、多くのサロンが苦境に立たされる原因のほとんどは、集客の考え方にあります。
 下図の通り、今、多くのサロンは「負の連鎖」に陥っています。値引きを伴う広告(クーポンなど)で集客し、定着しない新規客によって売上が構成されている状態になると、集客コストが利益を圧迫し続け、スタッフに還元するための原資が残りません。すると、離職が止まらずサロン固有の価値がつくれないため、過当競争から抜け出せないのです。

 一方、コモディティ化していないサロンの場合、〝選ばれる理由(周囲の人に薦める理由)〞が明確なため、口コミ中心に、十分な客数を確保できます。そうしたサロンに来店した顧客は、体験に価値を感じて定着し、サロンやスタッフとの間に強固な信頼関係を築きます。

 この流れをつくれると、集客コストをかけずに売上アップがかなえられるため、生まれた利益をスタッフに還元し、人材定着と成長を促してサロンの価値を磨くことができます。するとさらに口コミ客が集まる、という「正の連鎖」が生まれます。

「正の連鎖」を構築する店づくり

 このように、「どのようなお客さまをどのように集めるのか」と、「どのようなスタッフにどのように働いてもらうのか」というテーマは密接につながっています。両者のバランスを取りながら、緻密に店づくりを策定することで、「正の連鎖」が生まれます。

 もちろん、オーナーの思いや価値観を店に反映させるという観点も大切です。前回の「自分自身について再確認する」という項で解説した通り、「独立への強い意志」を持って、全身全霊で「思い描く未来」に向かっていくためには、サロンへの強い愛着が欠かせません。美容人生を通して成し遂げたいことや、好きな価値観、自分の引き継ぎ客の好みもぜひ店づくりに盛り込んでください。

 しかし、これからの店づくりはオーナー目線の価値観だけでは不十分です。加えて、スタッフが誇りを持って働けるサロンかどうか、「正の連鎖」を生むための戦略・戦術を詰め込んだ店づくりが達成できているかどうか、という観点を重視して策定してください。

 顧客・スタッフの双方から求められるサロンをつくってはじめて、成功に至る開業が実現できます。

「正の連鎖」を生み出すサービスプロフィットチェーン

 サービス業において「正の連鎖」をつくり出すために、「サービスプロフィットチェーン」という概念について理解しておきましょう。

「サービスプロフィットチェーン」とは、企業利益と、従業員満足(ES)・顧客満足(CS)の因果関係を示したフレームワークです。

 美容業のようなサービス業では、従業員による〝生産〞と、顧客による〝消費〞が同時に行なわれるという特徴があるため、顧客対応の最前線にいる従業員の満足度向上こそ重要であり、従業員満足がサービスのクオリティーを高め、それが顧客満足を引き出し、最終的には企業利益を高めます。

 その高めた利益でさらに従業員満足度を向上させることで、よりよい連鎖が生まれます。従業員満足は給与アップで得られると考えられ
がちですが、恒常的に従業員のモチベーションを高め、企業へのロイヤリティー(忠誠度)を引き出すには、仕事の面白さややりがいも重要となります。

 美容室の開業は、いかにスタッフ満足を引き出し、スタッフが輝ける環境をつくれるかが焦点となるのです。

次回、店づくり”を考える4ステップ
    その1「コンセプト」をつくる 配信中

第1回 あなたの経営方針を言葉にしよう


『決定版 美容室の開業
-3575軒の開業支援から導き出した
店づくりの考え方-』
監修/タカラベルモント開業支援チーム

A5判変型 240頁
定価3,080円(本体2,800円、電子版とも)

▼ご購入はこちらから
JOSEI MODE公式サイト
amazon.co.jp
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▼美容サロン開業のご相談は
タカラベルモント開業支援まで
お電話でのお申し込みはフリーダイヤル0120-449-114

2022.04.20
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