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『美容室の開業』そのお店を利用するお客さまをイメージしてみよう

 タカラベルモント㈱の開業支援チームは、成功する美容室開業を増やすため、その準備と計画をサポートする集団として結成。これまでの開業サポートで得られたノウハウが詰まった書籍『美容室の開業~3575軒の開業支援から導き出した店づくりの考え方』(女性モード社刊)を監修した。このコーナーでは同書より本筋を大幅に抜粋。全10回にわたり失敗しない美容室の開業を解説してゆく。

 今回は、開業に失敗しないための4ステップ第2回。お店を支えるファン、そしてロイヤルカスタマーとなり得る、顧客ターゲットの設定について考えてゆく。

美容室の開業 meme mag編
第4回 店づくりを考える4ステップ その2
    ターゲットを定める

監修:タカラベルモント㈱開業支援チーム

満足させるべき顧客を見定める

 コンセプトを決めたら、店づくりのセカンドステップであるターゲット設定に入ります。「顧客との約束」であるコンセプトに沿って、その「顧客」がどんな人物なのかを明確にしましょう。

 美容室の場合、ターゲットを性別や年齢層、ファッションテイストなどに限っているケースが少なくありませんが、投資に対する顧客からのリターンの軌道と内容を計画するためには、ターゲットの人物像をディテールまで、かなり具体的に設定する必要があります。具体化すればするほど、サロンの間口が狭くなり過ぎてしまうのではないか、という不安を抱くかもしれませんが、この段階では、細部まで明確にすることに徹しましょう。ターゲティングがあいまいなものは、結局、誰にも選ばれないという結果になりやすいためです。

美容室の開業 meme mag編<br />
第4回 店づくりを考える4ステップ その2<br />
    ターゲットを定める<br />
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監修:タカラベルモント㈱開業支援チーム

どのようにサロンを〝使う〟人かを考える

 ターゲットを具体化するには、その人が「どのようにサロンを〝使う〟人なのか」という角度から人物像を絞り込んでいく方法が有効です。
 例えば、その人が、
・どのくらいの頻度で来店するのか
・利用するメニューの構成と内容は何なのか
・来店1回当たりの使用金額は幾らなのか
・来店時の滞在時間はどのくらいなのか
・購入する店販品は何なのか
・どのようなタイミング・方法で来店予約をするのか
という問いを設定し、理想的かつ現実的な回答をリストアップします。回答を導き出すには、これまでのサロンワーカーとしての接客経験と知識を生かしてください。ただし、勤務してきたサロンの実態にとらわれず、自分の希望を投影します。

〝使う〟人を絞り込むと、提供すべき価値が分かる

 リストアップした、サロンの〝使い方〞を分析していくと、その想定顧客が、サロンにどんな〝価値〞を感じるのかが見えてきます。例えば、
・来店頻度は2ヵ月に1回→ショートスタイルやヘアカラー、髪のコンディションなど、理想とする美しさの「維持」に価値を感じる
・来店1回当たりの使用金額は1万5000円→理想とする髪の状態を維持するためには投資を惜しまず、施術の「クオリティー」に価値を感じる
・来店時の滞在時間は1時間30分以内→忙しいため、施術の「スピードの速さ」に価値を感じる
というように展開していくと、想定顧客に〝使い〞続けてもらうために、サロンがクリアし、訴求しなければならない価値が何なのかが浮き上がってきます。このように、詳細なターゲット設定とは、「誰を集客すればよいか」ということのみならず、「サロンで何をするか(あるいはしないのか)」ということを明確にするためのものでもあるのです。

[特別コラム]

ロイヤルカスタマー型サロンの強み

 店づくりを考える際に着目したいのが、超得意客としてサロンを支えてくれる、「ロイヤルカスタマー」の存在。ロイヤルカスタマーのサロンへの影響力を、データから読み解いてみよう。
※ 本コラムのデータはタカラベルモント(株)「S A L O N P O S L i n Q ユーザー調査2 0 1 7 」より

存在感を増す、ロイヤルカスタマー

 ロイヤルカスタマーとは、ある企業や商品、サービスに対しての忠誠度(ロイヤリティー)の高い顧客のことを指しますが、本書では、「年間8回以上の来店、10万円以上の支払いがある顧客」をロイヤルカスタマーと定義します(図表①)。

 タカラベルモント(株)「SALONPOS LinQ」を3年以上使用し、サロン情報と顧客情報の蓄積があるサロン3676軒分のデータを分析すると(図表②)、全サロンの総カルテ客数416万人のうち、ロイヤルカスタマーは32万人と、7.7%存在しています。また、2015年から2017年の3年間で、全顧客数は3.9%減少したにもかかわらず、全売上合計は2.4%増加しています。

 そして、年間支払い金額が2万円に満たない全店舗の顧客は17万人減少して合計支払金額も13億円減少している一方、ロイヤルカスタマー数は、2万4000人増加して合計支払い金額も38億円増加しており、ロイヤルカスタマーは注目すべきターゲット層であることが分かります。

 このデータから、〝顧客〟と一口に言っても、ロイヤルカスタマーなのか、それ以外なのかでは、サロンへの貢献度が大きく異なることが見えてきます。そして、集客難のこの時代に、増収を実現しているサロンの多くは、顧客に占めるロイヤルカスタマー比率が高いということも推測できます。

 よって、成果の上がる開業を目指して店づくりを策定する際には、「ロイヤルカスタマーをいかに集めるか」という視点を重視すべきです。

ロイヤルカスタマーがつくるサロンのゆとり

 カルテ枚数に対する、ロイヤルカスタマー比率と生産性との関係を見てみましょう(図表③)。3676軒のサロンの半数以上で、ロイヤルカスタマー比率は5%未満にとどまっていますが、その層のサロンのスタッフ1人当たりの生産性は平均49万円と低調です。

一方、ロイヤルカスタマー比率が20%を超えるサロンの割合はたった4%ですが、その4%のサロンの生産性は平均70万円に達しています。また、ロイヤルカスタマー比率が高いサロンほど、スタッフ1人当たりの担当客数が少ないため、スタッフが客数をこなすことに追われず、ゆとりあるサロンワークが実現できていると推測できます。

 年間支払金額ごとの、失客率に関するデータも興味深い内容です(図表④)。年間支払金額10万円以上の顧客の失客率はわずか4%で、失客率は、年間支払金額が多いほど低い傾向にあります。集客競争が激化する今、高生産性、低失客率をかなえてくれるロイヤルカスタマー。新規集客に追われない店づくりは、経営の安定・成長のための有効な戦略となります。

ロイヤルカスタマー型サロンとは

 このように、ロイヤルカスタマー比率が高いサロン=「ロイヤルカスタマー型サロン」とは、「サロンへのロイヤリティー(忠誠度)が高い顧客を集めて囲い込み、少ないカルテ枚数(少ない集客数)で利益を上げるサロン」と定義することができます(図表⑤)。「ロイヤリティーが高い」とは、必ずしも高客単価であるとは限らないのですが、この点については、別の項で解説します。

 実際に、一般的なサロンとロイヤルカスタマー型サロンの、カルテ枚数・年間来店客数と年間合計売上を比較すると、その特徴が如実に浮き彫りになります(図表⑥)。両サロンの年間合計売上を比較してもほとんど違いがありませんが、その売上の源泉である顧客の数(=カルテ枚数)には大きな違いがあります。

 一般的なサロンのカルテ枚数の平均が1086枚に対して、ロイヤルカスタマー型サロンの平均は515枚と、おおよそ半分の数で成り立っています。また、さらにそのカルテの内容に着目すると、ロイヤルカスタマー型サロンの場合、全顧客の20%の顧客(=ロイヤルカスタマー)で売上の60%が構成されていることが見えてくるのです。

 ロイヤルカスタマー型サロンが、いかに少ない顧客で大きな収益を上げているか、ということが分かります。

 データから明らかになったロイヤルカスタマー型サロンの特徴から、ロイヤルカスタマー数がカルテ枚数のおおよそ20%を占めると、⼀般的なサロンの約半分の来店客数で、経営を成り立たせることができる、との推測が成り立ちます。「集客数」より、「客層の質」がサロンのあり方を大きく左右します。

提案を受け入れてくれる、〝得意客〟

 ロイヤルカスタマーのような得意客比率が高いと、スタッフの成長にも好影響があります(図表⑦)。

 技術者は、何もかも手探り状態の新規客への提案より、施術履歴や好み、ライフスタイルを理解している得意客への方が、的を射た提案がしやすいものですし、そもそも技術者と顧客の信頼関係が確立されている場合、提案は高い確率で受け入れてもらうことができます。すると、必然的にサロン全体の複合率が高まります(図表⑧)。

 実際に、一般的なサロンの複合率が平均173%なのに対して、ロイヤルカスタマー型サロンの複合率は平均248%と、圧倒的です。サロンのメニュー稼働率の高さは、全スタッフの経験値アップに直結します(図表⑨)。

 多様な好みや髪質、ひいては性格を持った人を担当してさまざまな施術や接客の経験を積むことで、美容師としての総合力の高いスタイリストが育成されるようになります。そして、技術と知識に関する実力と自信は、ロイヤルカスタマー以外の顧客への提案力を高めることにもつながるようです。一般的なサロンの平均客単価が7763円なのに対し、ロイヤルカスタマー型サロンの平均客単価は1万2247円と、大きく差をつけているのです。

 ここまで、店づくりのヒントとして、ロイヤルカスタマーの影響力の大きさを示すデータをひも解きながら解説してきました。ロイヤルカスタマー中心のサロンは、スタッフと顧客1人ひとりとの深い関係性が築かれるため、より適切なサービスを提供できることから失客率が低く、必然的に新規集客に追われる必要性が薄くなります。

 顧客のニーズにフィットした施術やサービス提供は複合率アップにつながり、スタッフの提案力や技術力が高まります。すると、ロイヤルカスタマー以外の顧客へのサービスや施術内容のレベルも高まり、その結果、顧客満足度が高まり、超得意客が増えていくという循環が生まれやすいのです(図表⑩)。

 ターゲットを絞り込み、店づくりという戦略を練る際は、どのようにすればロイヤルカスタマーをつくりやすい環境を生めるか、という切り口からアイデアを探ることが不可欠です。

 

次回「“店づくり”を考えるSTEP3 メニュー&空間を考える」 配信中

第1回 あなたの経営方針を言葉にしよう>>
第2回 顧客とスタッフに支持される“店づくり”>>
第3回 店づくりを考える4ステップ その1「コンセプト」をつくる>>
第5回 店づくりを考える4ステップその3「メニュー&空間」を考える>>
第6回 店づくりを考える4ステップその4「 立地&物件」を探す>>

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『決定版 美容室の開業
-3575軒の開業支援から導き出した
店づくりの考え方-』
監修/タカラベルモント開業支援チーム

A5判変型 240頁
定価3,080円(本体2,800円、電子版とも)

女性モード社公式サイト>>こちら

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2022.05.18
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