美容室開業の成功率を高めるために結成されたタカラベルモント㈱の開業支援チームのノウハウが詰まった書籍『美容室の開業~3575軒の開業支援から導き出した店づくりの考え方』(女性モード社刊)。その本筋を大幅に抜粋し、美容室の開業から経営を軌道に乗せるまでの道筋を解説してゆく、全10回シリーズ。
実際に開業を果たしてから、経営が軌道に乗るまで、安定性を高めるには、自身も含め、従業員が目的意識とやりがいを持って働くためのサロンマネジメントが求められる。
第8回 スタッフの成長を促すサロンマネジメント
監修:タカラベルモント㈱開業支援チーム
〝環境〟は全てオーナーの責任
「スタッフの問題」の根本要因
開業し、人を雇用する立場になると、必ず「スタッフの問題」に突き当たります。左のように、掲げた経営方針やコンセプトの実現に対して、スタッフが思うように動いてくれないという問題です。
これらについて、文字通り〝スタッフのせい〞と捉えているうちは、状況は決して改善しません。なぜなら、「スタッフの問題」が起きる根本的な原因は、実はオーナーの思考とスタッフの労働環境にあるためです。つまり、「スタッフの問題」のように見える全ては、「オーナーの問題」と捉える方が、状況を好転させることができます。
では、どうしたらスタッフが力を発揮できる環境づくりができるのでしょうか? 次項から、問題の原因と対策を整理しましょう。
強力な仕組みをつくる
第2回で解説した通り、美容室のようなサービス業では、スタッフ満足が顧客満足に大きな影響を及ぼします。店づくりに関して、高い顧客満足が引き出せるよう、綿密に計算の上、策定したとしても、スタッフがその目的を理解し、納得と共感をもって高いモチベーションで実践しなければ、計画自体が機能しません。
この「計画」と「実践」の間にある隔たりをつなぐ最大のポイントが、サロンのオペレーション構築や労働環境の整備などの仕組みの確立です。もちろん、スタッフとのコミュニケーションや教育も重要ですが、それらの土台として仕組みがなければ、店づくりの実践を個人の気持ちや資質に依存してしまうことになります。
強い仕組みをつくる第一歩は、下図のように、「サロンマネジメント」と「顧客マネジメント」を分けて考えることに始まります。「スタッフの問題」の多くは、この2つを区別せずに全てスタッフに任せることで起きているともいえるのです。スタッフが「顧客マネジメント」に集中できる環境をつくる、という観点を大切にしましょう。
サロンマネジメントと顧客マネジメント
下の図は「サロンマネジメント」と「顧客マネジメント」の関係性を表しています。
スタッフの役割である「顧客マネジメント」は、担当した顧客1人ひとりとの関係性を深め、その関係性を緊密に管理し、再来率や定着率を高めて、単価アップに取り組むことを指しています。
一方、オーナーの役割である「サロンマネジメント」は、
●サロンのオペレーション構築
・スタッフが顧客マネジメントに集中できる店づくりの策定(第2回参照)
・数値シミュレーション(第7回参照)をベースとした数値目標の設定
・新規集客法の確立
●労働環境の整備
・スタッフが力を発揮できるキャリアパスと評価制度づくりという、2種類の仕事に分けられます。
第1回 あなたの経営方針を言葉にしよう
第2回 顧客とスタッフに支持される“店づくり”
第3回 店づくりを考える4ステップ その1「コンセプト」をつくる
第4回 店づくりを考える4ステップ その2「ターゲット」を定める
第5回 店づくりを考える4ステップその3「メニュー&空間」を考える
第6回 店づくりを考える4ステップその4「立地&物件」を探す
第7回 構想の妥当性を見える化する数値シミュレーション
『決定版 美容室の開業
-3575軒の開業支援から導き出した
店づくりの考え方-』
監修/タカラベルモント開業支援チーム
A5判変型 240頁
定価3,080円(本体2,800円、電子版とも)
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