8月1日発売「ヘアモード」9月号の特集はここがスゴイ...
「この町いちばんのヘアデザイナーになる!」をコンセプトに、毎月独特の視点で、ヘアデザインやそれをつくり出す技...
洋画家の中島健太氏は、国内最大の総合美術展・日展(日本美術展覧会)において、初出展では最年少となる24歳でグランプリに相当する特選を受賞。2014年には2度目の特選を受賞しました。20代で2回の特選受賞は、洋画家・小磯良平にならぶ記録で、次代の絵画界を担うと目されている存在です。
中島健太氏の制作手法は油絵で、作品の多くは女性を題材にしている。その理由について、同氏は次のように話す。
「男性にとって、女性はミステリアスであり、美しさを感じる究極の存在。この世に存在する美しいものを伝えたいという気持ちが、創作への大きな動機となっています」
作品は、『写実絵画』といわれるジャンルに属する。人間の目は、両目の視差によって遠近を知覚する。人間が見ている空間と、写真が表現する空間とはおのずと異なる。目で見たものを忠実に描くのが写実絵画であれば、作家性はどういったところに宿るのだろうか。
「写実画家には、写真と見分けがつかない絵を描く超絶技巧派もいれば、感性に根ざした省略や強調によって、独自の世界観を構築する作家もいます。誤解をおそれずにいうならば、私自身はコンセプトを持たない作家。こういう趣旨で描きたい、と思って題材を探すことはなく、最初に美しいもの、美しい人ありきで、そこが創作の出発点です。素材の魅力が高ければ高いほど、作家としての〝味つけ〟は必要ないと考えています」
モデルにしかない魅力を抽出するために重要なのは、先入観を持たないこと。頭の中でポージングを想定しても、実際にはモデルのイメージと合致しないことも多い。コミュニケーションを重ねながら、モデルの女性像を最も象徴する表情やポージングを探り出していく。
「作家としての内面的な発露を表現するのではなく、目の前にいる人のかけがえのない美しさを抽出し、それを筆先に伝えるのが私のスタイル。そうすることで、私が感じた美しさを見る人に伝えたいと思っています」
作品でモデルをつとめた女性は、絵を鑑賞した人から「あなた以上に、あなたらしさを感じる」と評されることが多いという。その人の本質をすくい取るからこそ、本物以上に本物らしさが立ちのぼるのだろうか。
中島作品にあるもう1つの大きな魅力は、女性ならではの柔らかでやさしい雰囲気。モデルの空気感までもを伝える独自のアプローチは、同氏ならではの視線によって培われてきた。
「ストレートに女性らしさを探すのではなく、男性にない部分を見ること。そうして余分を排することで、浮き彫りのように女性ならではの透明感、強さやはかなさが際立って見えるのです」
女性に対するリスペクトを抱きながら、まっさらな心で目の前の女性と向き合うこと。その人が持つ美しさの本質が、画家の目に映し出されたとき、また1つ新たな作品が生まれることになる。
※本記事は、『HAIR MODE 』および『HAIR MODE digital 』2017年4月号にて掲載した記事を転載したものです。
なかじま・けんた/洋画家。1984年生まれ。東京都出身。2009年、’14年の日展で特選受賞。20代で2度の受賞は史上2人目。個展の開催、展覧会への出品など精力的に活動中。
「この町いちばんのヘアデザイナーになる!」をコンセプトに、毎月独特の視点で、ヘアデザインやそれをつくり出す技...
潤う頭皮に導き、未来の髪を思いやるケアとして注目を集める「ルベル ワン」。髪のみならず、頭皮ケアと連動する提...