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遺影というとどうしても、死のイメージが強くつきまとうが、それを払拭しようと活動する写真家がいます。遺影専門の写真館・素顔館の能津喜代房館長その人です。
「従来の遺影の多くは、正面を向いた硬い表情の写真。それだと古くからの友人であってもよそよそしく感じてしまい、手を合わせて最後のお別れを交わす気が起こりにくいんですね」
素顔館で撮られた写真は、今でも語り出しそうな表情で、その人の人柄が前面に出たものばかり。葬儀の場で飾られれば、まるで故人がその場にいるような感覚にさせてくれることだろう。
そもそもなぜ、遺影専門という道を選んだのか。能津館長は自身の思いを振り返る。
「約15年前、義父が亡くなったときに、遺影にできるような写真がなかった。自分がカメラマンでありながら、義父が元気な頃に写真を撮ってあげられなかったことに、後悔の念がありました」
その後悔を引きずり、同じような思いをする人を1人でも減らしたいと、還暦を迎えた2008年に素顔館を開館した。つまり能津館長が撮る遺影とは、遺影のための写真ではなく、遺影の候補となりうる最高の一枚なのだ。だから撮影時は、その人らしさを引き出すことを一番大事にしている。
「お互いに初対面ですから、いきなり撮影を始めたら、緊張感が解けないうちに終わってしまいます。その前にカウンセリングの場を設け、5分〜10分程度の会話をするんです。わずかな時間でも身近な話題で楽しい気分になれば、相手は心を開いてくれるし、僕もその人を理解できる。そうすれば、どのように撮ればいいか、方向性をつかめるんです」
カウンセリング後もほどよい間隔で「趣味は何?」「お孫さんはいくつ?」など、会話を続けながら撮影に入っていく能津館長。そして撮影中、最も注視するのは相手の目の輝きだという。
「人の美しさは目に宿ります。心がきれいな人は目が美しいし、心が笑っていれば、自然と目も笑うんです」
修業時代は大手化粧品メーカーの宣伝部門に所属し、退職後もフリーカメラマンとして広告分野で活躍した。当時は「若いモデルの機嫌をとるのが嫌だった」と振り返るが、そこで培った話術が円熟みを増し、今はスタジオ内を和ませるツールになっている。
「僕より腕の立つカメラマンはたくさんいると思いますが、瞬間の良い表情をとらえる技術は誰にも負けません」
昨今「終活」「エンディングノート」という死を迎えるための心づもりが注目されていることもあってか、生前遺影を撮ることへの抵抗感も薄れ、問い合わせも増えているという。
「それでもまだ、年配のお客さまが多いですが、もっと若い人にも来てほしい。そして葬儀の場と言わず、普段から写真を額縁に入れて飾ってくれるとうれしいですね」
のづ・きよふさ/遺影写真家。1948年生まれ。山口県出身。東京工芸大学を卒業後、(株)資生堂宣伝制作写真部に勤務。2008年に素顔館を開館。朝日広告賞部門賞など受賞歴多数。
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