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サロンで一緒に働くオーナーとマジメに話してみるとどんな発見があるのでしょうか? 今回は、内田さん[vetica]がオーナーの鳥羽さん[VeLO]に「リアルデザイン」についてのトークを申し込みました。2人のおしゃべり、のぞいてみましょう!
鳥羽:先日、聡一郎とリアルデザインを見せ合う外部セミナーをやったけどあれは面白かったよね。
内田:久しぶりにナオさんのカットしている姿を見て、やっぱり上手いなとあらためて思いましたね。
鳥羽:カットの源流は一緒だけど、聡一郎は聡一郎でリアルなデザインを追求していて、それが聡一郎らしさ『vetica』らしさになっている。『vetica』のデザインはこうだ!と意識してつくってるんでしょ?
内田:そうですね。結構意識的にやっているかもしれません。ナオさんと僕って源流は一緒だけど、好みや性格、つくるものはまるで違うじゃないですか。だけどナオさんが見ても「いいじゃん」と言ってもらえるようなものをつくるようには心がけています。師匠がいいと思えないものをつくっているのは嫌だから。やはりナオさんの目が一番気になりますね。
鳥羽:弟子は師匠をずっと見ているから独り立ちした時、師匠の悪いところは直し、良いところは吸収して自分のスタイルを確立すればいいと僕は思っている。聡一郎はそういう意味ではそこら辺をうまくやっているな、と思うよ。
内田:僕は僕らしさを出したいな、と思ってやっていますが、ナオさんがそれをどう思っているのかな、と考えることがありますよ。デザインってサロンごとのテイストがあるじゃないですか。僕はそこからはずれたことを結構やってきましたが、ナオさんはありがたいことにOKにしてくれたことが多かったですよね。ふつうならばダメらしいですよ。
鳥羽:そうなんだ。でも聡一郎は真面目だからね。外見はライトに見えがちだけど、すごく真面目。だからサロンのテイストからはずれたデザインをつくる時も、状況をきちんと把握してやるからとんでもないことにはならない。これがとんでもないことばかりをやらかすやつだったら信用できないけど、僕は聡一郎を信用しているし、あえてテイストからはずしてチャレンジしているものでも、それはそれで面白いところを突いているな、と思うんだよね。
内田:つい飛び出してしまうこともありますけど、カットは好きだしヘアカラーも好きだし、そして何よりもデザインをすることが好きという気持ちが強くて。そこはナオさんと一緒ですよね。
鳥羽:そう、それなんだよ。聡一郎はちゃんとデザインが好きっていうものをつくるし、お客さまに対してもただカットしているだけではなく主張があるものを提供している。だから聡一郎がつくるものは見ていて面白いし、勉強になるんだよ。
鳥羽:「リアルデザイン」の定義ってすごく難しい。聡一郎のお客さまはダブルカラーが多いけれど、地方の美容室だとダブルカラーのお客さまなんて100人に1人とか。そのような状況だとダブルカラーもリアルだと感じられないよ。
内田:リアルかクリエイティブかは自分の身を置いている環境や状況によって違ってくるので、その捉え方はまちまちですね。ただし、嘘っぽく見えるようなものはつくりたくないとは思っています。
鳥羽:コンテストで賞をとるためだけに、ただインパクトを求め、落とし込めていない作品があると、それはどんなに上手くてもリアルには見えない。
内田:もともと好きじゃないものや無理やり自分の意思と反してつくったものはリアルじゃないし、媚びを売ったり、奇をてらったものはリアルデザインではない。自分がかっこいいと思えばそれがリアルとも思いますけどね。
鳥羽:すごくクリエイティブでカッとばしたものをつくり、それをリアルデザインに落とし込んだ時に少しその要素が入っている、といったものがいいなと思う。聡一郎はそこら辺がすごくうまいよね。
内田:僕がかっこいいと思ったらそれはリアルみたいなスタンスでやってますから(笑)。
鳥羽:それと聡一郎って自分がいいなと思ったら、そのデザインをトコトンお客さまでやるよね。
内田:トコトンやらないと今の僕の気分が伝わらない気がして。
鳥羽:聡一郎のお客さまを見て、今の聡一郎の気分を知ることが多いよ。僕も刺激されてちょっとハイトーンをやってみたり(笑)。
内田:本当ですか?
鳥羽:僕は聡一郎のデザインを見て、その要素の一部に刺激されて自分なりに解釈して自分のデザインに入れることがあるの。けれど弟子は師匠のものを真似したくないでしょ? それをすると師匠を超えられないから。だから外部から習得し、吸収してオリジナリティを確立するんだよね。
内田:そうですね。けど根本的なこと、つまりデザイナーでありたいという意識はこの店で育てられましたね。たとえば、それまでしていなかったハイファッションのコレクションを見るようになった。サブカルのようなものをつくったとしても、どこか上品でハイファッションの要素を効かせたいという意識が根底にあるんです。
鳥羽:今、流行っているからとかモテるからとかいう、世間がつくり出したモヤモヤしたものではなく、これがいいと自分たちが主張できるリアルデザインをこれからも打ち出して行きたいよね。
とば・なおやす/1972年生まれ。東京マックス美容専門学校卒業。渡英後1店舗を経て、東京・原宿に2003年『VeLO』、
’09年『vetica』設立。’15年、同地で両店ともに拡張移転。㈲SDR代表。
うちだ・そういちろう/1979年生まれ。神奈川県出身。国際文化理容美容専門学校通信課程卒業。2003年『VeLO』にオープニングスタッフとして参加。現在、姉妹店『vetica』のディレクターを務める。
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