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世界展開するメーカーは、各地域の人々の髪質と嗜好を熟知している。製品開発の担当者が見た日本人の髪とは…。
解説/バルバラ・ドゥサール[LOREAL PROFESSIONNEL]
日本は、どんな分野も市場が成熟しており、グローバル企業にとって無視のできない国ですが、ヘア関連の化粧品メーカーとしてはそれ以上に、製品の研究・開発という面で、貴重な存在という位置付けにあります。それは日本人女性ほど、毛髪の美に対する要求が高く、ヘアケアに関する知識が豊富な消費者は、世界的に見ても非常に稀だからです。その艶やかで、きちんとケアされた輝くような黒髪に憧れる、欧米人女性も少なくありません。私たちはその高い要求に応え、消費者の満足を得ることに、やりがいを感じています。
日本人女性の髪の特徴としては、毛髪表面を覆うキューティクルの枚数が多く、厚いことが挙げられます。しかしキューティクルは非常に繊細であるため、パーマやヘアカラーの化学的な作用で損傷してしまいがちです。日本人は若いうちからヘアカラーやパーマを楽しむことが多く、毛髪ダメージの進行がかなり顕著という方が多く見受けられます。
そのために毛髪のケア意識を高く持っており、毎晩お風呂に入り、さらに朝にも髪を洗うという女性は少なくありません。毎晩髪を洗うという行為は世界的にみると非常に珍しいものです。しかしその髪を清潔に保とうとする行為さえ、キューティクルの損傷に拍車をかける原因となり得ます。そういったライフスタイルは、日本独自の製品開発においてのキーポイントとなっています。
日本の独自性という意味では、ヘアカラーも重要なキーとなります。ロレアルのヘアカラーは、展開する国に合わせて処方を改変していますが、基本色はほぼ世界共通です。当然、ブロンドヘアと黒髪では見た目の発色が異なります。そして同じ黒髪であっても、西洋人と日本人とでは元々の明度が異なるため、発色の違いが生じます。
日本人の黒髪は赤みが強く、例えば昨今流行している寒色系のカラーを施術すると、赤み強くなり、くすんでしまうのです。美しい寒色系に染め上げるにはどうすべきか、プロの美容師の意見も取り入れ、研究員が何十回にもわたり処方変更を繰り返すことで新しい色が誕生します。
世界には多様な髪質の人がいて、それぞれの生活環境や文化によって、求められてる美しさも異なります。その中でも日本人女性は、美意識の高さでも素材の手ごわさの面でも、パッションの尽きない研究対象です。
日本向けの商品を研究開発する顔触れは非常にインターナショナル。日本人の研究員に加え、フランスはもちろん、アメリカ、イタリア、ドイツ、インド、中国、韓国その他。国籍にとらわれないから、視点や発想にも広がりがある。
日本人は校則による禁止が解けると、若いうちからヘアカラーを楽しみ、一度経験すると、高齢になっても白髪染めを続ける。ヨーロッパでは、校則でヘアカラーを禁止されることがないので、ヘアカラーは日本人以上に早い人が多い。しかし、高齢に達すると「プラチナグレイ」と称して、白髪自体をシックな大人の色と捉え、ヘアカラーを控える傾向にある。
・ストレートパーマ
クセ毛に悩む女性の艶のある髪への憧れが、縮毛矯正の精度を高めた。
・ヘアワックス
ハネがちな髪に対応する優れたホールド力は、美容師の自在なスタイルづくりに効果的。
・ヘアケア商品
クレンジングクリームは、毎日のシャンプーに時間をかけたくない、またシャンプーにもトリートメント効果を求める人に好評。
※本記事は、『HAIR MODE 』および『HAIR MODE digital 』2017年7月号にて掲載した記事を転載したものです。
バルバラ・ドゥサール/フランス・パリ出身。フランス本社にて、コンシューマー、プロフェッショナル両方のヘアケア製品の開発を主に担当。現・プロフェッショナル プロダクツ事業本部 マーケティング ディベロップメント マネージャー。
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